歯周病について
歯周病は炎症性の疾患であり、細菌感染によって引き起こされます。歯と歯肉の境目までしっかり清掃しないと、多くの細菌の居所となり、歯肉が炎症を起こすのです。
痛みはほとんどの場合感じませんが、歯肉が赤くなったり、腫れたりします。症状が進行すると、歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台が溶けて歯がグラグラと動くようになるでしょう。最悪の場合、抜歯しなくてはならないケースもあります。
歯周病は様々な全身疾患と関係していることが解っています
歯周病菌に関係する悪玉細菌の数は10種類あることがわかっていますが、その中に「レッドコンプレックス」と呼ばれる歯周病極悪3菌種が存在しています。
レッドコンプレックスは歯のまわりを構成する歯周組織を破壊するだけでなく、血管内に侵入して全身を巡り、血栓・動脈硬化などの血管の老化を引き起こします。
さらには糖尿病・心臓病・脳梗塞などの全身的な疾患をもたらす可能性があることもわかっています。
自覚している症状は、氷山の一角かもしれません
例えば、歯肉からの出血が気になり、歯科医院を受診された患者様がいらっしゃるとします。高血圧の持病を持っており、後の検査で、歯周病が持病に関与していることがわかりました。このときに患者様が自覚している症状は高血圧のみですが、まだご本人が自覚していないだけで、水面下では動脈硬化、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞やアルツハイマーなど、さらなる疾患が密かに始まり進行しているかもしれません。
歯周病が引き起こす・リスクを拡大する全身疾患
口腔内にとどまっている歯周病菌・虫歯菌が、歯ブラシや歯石取りなどによる歯肉の傷口から血管内に侵入するケースがあります。歯周病菌・虫歯菌は血流に乗って全身を巡り、やがて血管や全身の臓器にダメージを与える恐れがあるでしょう。歯周病菌・虫歯菌などの悪玉細菌がもたらす健康被害については、メディアや新聞でも大きく取り上げられています。
歯周病極悪3菌種:レッドコンプレックス
口腔内には約900種類の細菌がおり、その内10種類が歯周病に関係していると考えられています。その10種類ある歯周病菌の中で最も悪い存在なのが、レッドコンプレックスと呼ばれる歯周病極悪3菌種です。
レッドコンプレックスは歯のまわりを構成する歯周組織を破壊するだけでなく、血管内に侵入して全身を巡り、血栓・動脈硬化などの血管の老化を引き起こします。
さらに全身にもダメージを与え、糖尿病・心臓病・脳梗塞などの全身的な疾患をもたらす可能性があることもわかっています。
テレビでも特集が組まれる注目の悪玉細菌
トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)、ポルフィノモナス・ジンジバリス(P.g菌)、タンネレラ・フォーサイシア(T.f菌)が、レッドコンプレックスと呼ばれている歯周病極悪3菌種です。NHKの健康番組「試してガッテン」では、トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)、ポルフィノモナス・ジンジバリス(P.g菌)が【ジンの輔】【ヘビ蔵】とあだ名をつけられて、イラストと共にお茶の間レベルまで紹介され話題となりました。
当院ではアドチェックで歯周病原因菌酵素活性を測定します
当院では、歯周病原因菌酵素活性測定キット「アドチェック」を導入しています。
アドチェックを使えばたった15分で歯周病リスクを調べられます。高感度かつその場で結果がわかるほか、サンプリングが簡単であるため、アドチェックの使用を継続する患者様も多くいらっしゃいます。
<アドチェックの特徴>
1.高感度かつ正しい測定が可能
10倍段階希釈したProphyromonas gingivalisの培養菌を、1×104cfu/mLまで測定可能。
2.特異性が高く、誤差の範囲が最小限
口腔内にある20種類の菌(108〜109cfu/mL)は全て陰性となり、特異性の高さが証明された。
菌血症とは
血流に乗って細菌が全身を巡っている状態を、菌血症と言います。
歯ブラシや歯石取り、抜歯などの処置を行った直後は、一時的に口腔内にある悪玉細菌が傷口から血管内に侵入して、血流に乗って全身を巡る菌血症となることがわかっており問題視されています。
歯周病菌の中でも、レッドコンプレックスと呼ばれる歯周病極悪3菌種(P .ginngivalis, T.denticola, T.forsythensis)は、歯周組織だけでなく血管や身体にも悪影響をもたらす恐れがあります。歯周病極悪3菌種によって歯を支えている骨が溶かされるだけでなく、さらには血管や身体にも深刻な影響を及ぼすでしょう。日本赤十字社は歯科で歯石取りや抜歯など観血的処置を行った後、3日以内の献血は受付けていません。
菌血症を懸念して、日本赤十字社は歯科で歯石取りや抜歯などの処置を行った後、3日以内の献血を受付けていません。
当院ではEMSでダメージを減らして出血をさせないように治療します。
当院では治療時に出血しその血に存在する細菌が体内の血流に乗って全身を巡るのを防ぐために、必要以上に歯を傷つけず、最小限のパワーで細菌を取り除くEMSを用いてバイオフィルムを除去します。
日本赤十字社は、歯石取り後3日間の献血を禁止しているのをご存じですか?
日本赤十字社は歯科で歯石取りや抜歯などの処置を行った後、3日以内の献血を受け付けていません。
観血的処置時には、口腔内の悪玉細菌が傷口から血管内に侵入して、血流に乗って全身を巡る恐れがあります。悪玉細菌は血液内に3日間ほどとどまるため、輸血を受ける患者様に深刻な影響を及ぼす恐れがあることから、献血を受け付けていないのです。
輸血を受けた患者様だけでなく、歯石取りや抜歯などの出血を伴う処置を受けた本人にも深刻な影響を及ぼすことがあることを知っておいてください。
歯周病の進行度
Flow01歯肉炎
歯ぐきが赤くなり、ブラッシング時に血が出ることがある。
Flow02軽度歯周炎
歯ぐきが腫れ、歯周ポケットが深くなり、顎の骨が溶けはじめる。
Flow03中等度歯周炎
顎の骨が半分近く溶け、歯がグラつく。歯が浮いた感じになり、口臭がひどくなる。
Flow04重度歯周炎
顎の骨の大部分が溶け、歯がグラグラになる。出血や膿がひどくなり、悪臭を放つ。このまま放置すると歯が抜け落ちる。
レーザー治療で患者様の負担を軽減します
当院では、Nd:YAGレーザー(ネオジウム・ヤグレーザー)を導入して、積極的な歯周病治療に取り組んでいます。レーザー治療に関しては、マスコミやメディアなどでも取り上げられる頻度が高くなりましたが、日本国内にある歯科医院での普及率はまだ20%ほどです。
普及が遅れているのは、治療機械が高価であるためでしょう。しかし、Nd:YAGレーザーを用いることで歯周病治療に優れた効果を発揮することがわかっています。
ネオジウム・ヤグレーザーを用いることで、歯質をエネルギーが透過し、痛みを伴う歯を正確に診断できるため、削る治療を最小限に抑えられます。冷たいものや歯ブラシの毛先で歯がしみる知覚過敏の症状や、根管治療にも活用可能です。
※費用は1歯:1,100円(税込)です。
詳しくはこちら歯を守るための定期検診
歯周病は初期段階での自覚症状が少ない病気です。症状が出るほど進行してしまうと、歯を失うリスクが高くなります。歯周病は予防できる病気なので、いつまでも自分の歯で噛むためにも、歯周病にかかってから治療するのではなく、かかる前に予防することが大切です。普段のケアとともに、予防歯科も合わせて受診しましょう。